自宅でできるボルダリングのトレーニング器具|保持力・体幹・引く力・押す力を部位別に【初心者〜中級】
51歳・ボルダリング歴10年のレンが、自宅でできるボルダリングのトレーニングを『鍛える能力』ごとに整理。保持力・体幹・引く力・押す力の4つを、家でできる種目とそのための器具まで、初心者〜中級者・40代以降が無理なく取り組める範囲でまとめました。
こんにちは、レンです。九州在住の51歳、週末ボルダリング歴は10年目に入りました。
ジムに行ける日は、せいぜい週に一度。残りの6日間、わたしは長いこと「何もできることはない」と思い込んでいました。でも、ある時期から自宅でちょっとした補強をするようになって、登りの質が地味に変わってきた実感があります。次にジムへ行ったとき、先週まで保持できなかったホールドに指がかかる。あの小さな更新が、家での10分から生まれることがあるんですね。
この記事では、自宅でできるボルダリングのトレーニングを「鍛える能力ごと」に整理しました。保持力・体幹・引く力・押す力の4つです。それぞれ「①なぜボルダリングに必要か → ②家でできる種目 → ③そのための器具」という順で書いていきます。器具は具体的なタイプまで踏み込みますが、無理に全部揃える必要はありません。気になったところから、ひとつずつで十分です。
※本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。各器具は楽天市場のリンクを掲載しています(Amazon・Yahoo!ショッピングのリンクは順次追加していきます)。
家トレって、本格的なクライマーがやるイメージで……。週1ジムの自分には早い気がするんですが。
それ、10年前のわたしと同じ思い込みです。家トレは「強い人がさらに強くなる」ためだけのものじゃない。むしろ週1の人ほど、家でほんの少し触っておくと、ジムでの1回が活きてくるんですよ。やりすぎないことが前提だけど、そこは順番に説明しますね。
先に:家トレで何が変わるか、何に気をつけるか
具体的な種目に入る前に、家トレの位置づけと、いちばん大事な注意を先にまとめておきます。ここを飛ばさないでください。
家でやるトレーニングは、ジムでの登りを「置き換える」ものではありません。あくまで補強です。ボルダリングが上手くなる一番の練習は、やっぱり実際に登ること。家トレは、その登りを支える土台づくりだと考えてもらうとちょうどいいと思います。
そのうえで、家トレで狙えるのはおおよそ次の4つ。
- 保持力(指・前腕):ホールドを掴んで離さない力
- 体幹(コア):壁の中で体を安定させ、足を残す力
- 引く力(プル系):体を引き上げる、いわゆる懸垂方向の力
- 押す力(プッシュ系):マントルや突っ張りで使う、押し返す力
この記事は、この4つの順番で進みます。
そして、これだけは最初に強く言わせてください。家トレで怪我をするのは、本当にもったいない。ジムなら誰かが見ていて無茶を止めてくれることもありますが、家は基本的に一人です。歯止めが効かない。「もう一回」が積もって、気づいたら痛めている。これがいちばん怖いパターンです。
特に40代・50代から始めた方は、若い頃の体力イメージで突っ込まないこと。回復は確実に遅くなっています。わたし自身、4年目に指の違和感を甘く見て腱を痛め、2ヶ月ほぼ休んだ経験があります。詳しくは50代クライマーの怪我予防と回復のリアルに書きましたが、あの2ヶ月で失ったものを思うと、家での「あと一回」は本当に要らなかったなと。
回数やセット数の目安はこの記事にも書きますが、あくまで一般的な目安です。体の感じ方には個人差がありますし、その日の調子でも変わります。数字を守ることより、痛みや違和感が出たら即やめることを上に置いてください。
では、ひとつずつ見ていきます。
1. 保持力(指・前腕)を鍛える
なぜボルダリングに必要か
ボルダリングで「もう少しで届くのに保持できない」「掴んだ瞬間に指が開いて落ちる」——この壁にぶつかったことのある人は多いと思います。その正体の多くが保持力、つまり指と前腕の力です。
ボルダリングは、突き詰めると「小さな引っかかりを、自分の指で掴み続けられるか」の勝負になっていく面があります。足や体幹がどれだけ良くても、最後に指が耐えられなければホールドは保持できない。だから保持力は、上を目指すほど効いてくる土台です。
ただ——ここが本当に大事なところなので先に言いますが、指は体の中でいちばん故障しやすい部位のひとつです。筋肉と違って、指を支える腱や腱を覆う組織は、強くなるのにとても時間がかかります。なのに、ぶら下がれば負荷だけはすぐかけられてしまう。この「負荷はすぐ・強化はゆっくり」のギャップが、指のトラブルを生みます。
保持力トレは、家トレの中で一番リターンが大きいけど、一番リスクも大きい。ここだけは焦らないでほしいです。
自宅でできるトレーニング方法
安全のための大前提(保持力トレは特にここを守ってください)
- 必ずウォームアップしてから。 いきなりぶら下がらない。手首をぐるぐる回す、指を握って開くを何度か、軽い負荷で前腕を温めてから始めます。冷えた指に全体重をかけるのは、怪我への最短ルートです。
- 少しでも指や手のひら、肘に痛み・違和感が出たら、その場で中止。 「もう少しいける」は禁句にしてください。指の痛みは、我慢して得をすることがひとつもありません。
- 40代以降はとくに慎重に。 強化のペースを若い人の半分くらいに見積もるくらいでちょうどいいです。週に何度もやり込まず、登った日と日を空ける。「物足りないな」で終えるのが、長く続けるコツです。
- 最初は全体重をかけないこと。足を床や椅子に残して荷重を減らした状態から始め、慣れても急に負荷を上げない。
そのうえで、家でできる種目を3つ。
① フィンガーボード(ハングボード)にぶら下がる
いちばん深いホールド(持ちやすい部分)に、指4本をかけて軽くぶら下がります。最初は足を床に残して、体重の一部だけ指に乗せるところからで十分です。目安は10秒ぶら下がって、しっかり休む。これを数回。クリンプ(指を立てて掴む持ち方)はとても負荷が高く怪我もしやすいので、初心者〜中級のうちはオープンハンド(指を寝かせて掛ける持ち方)中心にしておくのが安全です。
② ハンドグリッパーを握る
握力強化の定番ですね。ただボルダリングの保持力は、いわゆる「握り潰す握力」とは少し違う部分もあるので、グリッパーは前腕を温める・補助的に使うくらいの位置づけがちょうどいいと思います。軽めの負荷で、ゆっくり握ってゆっくり戻す。これを左右で数回ずつ。バネが強すぎるものを無理に握ると肘を痛めることがあるので、軽いものから。
③ リストローラーで前腕を巻き上げる
棒に紐とおもりを付け、手首を返しながら巻き上げる種目です。前腕全体に効きます。これは指の腱への直接負荷が比較的少なく、前腕の持久力を育てやすいので、40代以降の補強としてはわりと相性がいいと感じています。軽いおもりで、巻き上げ→ゆっくり下ろすを数回。
そのための器具
フィンガーボード(ハングボード)を選ぶときのポイント
家トレ用なら、ドア枠の上に引っ掛けて使えるタイプが手軽です。選ぶときは、深め(持ちやすい)のホールドが含まれているものを。いきなり浅いカチ(小さい引っかかり)ばかりのストイックなボードを選ぶと、初心者〜中級にはオーバーで、怪我につながりやすいです。木製は指当たりがやさしく、樹脂製はメンテが楽、という違いもあります。取り付け箇所がしっかり荷重に耐えるか、設置のしやすさも要チェック。
フィンガーボード(ハングボード)
指4本でぶら下がって保持力を鍛える定番器具。初心者〜中級は「深め・持ちやすいホールドが含まれるタイプ」を選ぶと無理がありません。ドア枠取付式なら手軽に始められます。
ハンドグリッパーを選ぶときのポイント
負荷(kg表記やレベル表記)が選べるものがおすすめです。最初は軽めを。強い負荷のものを背伸びして使うと、握力より先に肘や指を痛めます。前腕を温める用途と割り切るなら、軽〜中くらいの一個で十分です。
ハンドグリッパー(負荷調整/軽めタイプ)
前腕のウォームアップと補助的な握力強化に。ボルダリングでは「軽めを丁寧に」が基本。負荷を選べるタイプだと、その日の調子に合わせやすいです。
リストローラーを選ぶときのポイント
棒・紐・おもりがセットになったものか、自分でプレートを足せるタイプか。おもりを軽くから調整できることが大事です。前腕の持久力づくりに向いていて、指への直接負荷が少なめなのが利点。グリップが太すぎると手が疲れるので、握りやすい太さのものを。
リストローラー(手首巻き上げ式)
紐とおもりを巻き上げて前腕全体を鍛える器具。指の腱への直接負荷が比較的少なく、40代以降の前腕補強と相性がいいタイプ。軽いおもりから調整できるものを選ぶと安心です。
フィンガーボード、毎日ぶら下がったほうが早く強くなりますか?
それ、絶対ダメなやつです(笑)。指は休んでいる間に強くなる部位なので、毎日やると逆に弱るどころか壊れます。やった日の翌日は指を休ませる。週2回くらいで、しかも「軽く」。地味に思えるけど、これが10年壊さずに続けられた理由のひとつです。
2. 体幹(コア)を鍛える
なぜボルダリングに必要か
「腕がパンプ(前腕がパンパンに張ること)して落ちる」と思っている人の中に、実は体幹が抜けているケースがけっこうあります。
体幹が弱いと、壁の中で腰が落ちたり、足が壁から剥がれたりします。すると体を支えるために腕でぶら下がる時間が長くなり、結果として前腕が早く疲れる。つまり「腕が持たない」の原因が、お腹側にあることが少なくないんですね。
特に傾斜のある壁(前傾壁)では、体幹で骨盤を引き上げて足を壁に残せるかどうかが、登れる・登れないを分けます。体幹は地味ですが、効いてくると登り全体が安定します。しかも家トレと相性が抜群で、器具なしでもかなりやれるのが嬉しいところ。
自宅でできるトレーニング方法
① プランク(器具なしでOK)
うつ伏せから肘とつま先で体を支え、頭からかかとまで一直線をキープします。お尻が上がったり腰が落ちたりしないように。目安は20〜30秒キープして休むを数回。きつければ膝をついた状態からでも十分効きます。腰に痛みが出るフォームになっていたら、それは効かせどころがずれているサインなので、一度やめて姿勢を見直してください。
② アブローラー(腹筋ローラー)を転がす
これは効きます。最初は必ず膝をついた状態から。ローラーを前に転がして、戻す。このとき背中を反らさないことが何より大事で、腰を反って転がすと腰を痛めます。お腹に力を入れて、体を一枚の板のように保ったまま、ゆっくり。目安は5〜10回を1〜2セットから。立ちコロ(膝をつかないやり方)は負荷がかなり高く腰へのリスクも大きいので、初心者〜中級、特に40代以降は膝つきで十分です。
③ バランスボールで体幹を安定させる
ボールの上に座ってバランスを取る、ボールに足を乗せてプランクをする、など。揺れる不安定な面の上で姿勢を保つことで、細かい体幹の筋肉が働きます。登りで使う「ぐらつきを止める」感覚に近く、楽しみながらやれるのが利点です。落ちて打たないよう、周りに物を置かないスペースで。
そのための器具
アブローラーを選ぶときのポイント
ストッパー(戻りすぎを止める機能)付きだと、初心者でも前に行きすぎて潰れる事故を防げて安心です。ホイールは幅広・二輪のものが安定します。膝つきマットが付属していると膝が痛くなりにくい。シンプルな器具なので、安定性と戻り防止だけ見ておけば大きく外しません。
アブローラー(腹筋ローラー/ストッパー付き)
体幹を一気に鍛えられる定番。ボルダリングでは「壁の中で腰を落とさない力」に直結します。初心者・40代以降は膝つきで、戻りすぎを防ぐストッパー付き・幅広ホイールが安心です。
バランスボールを選ぶときのポイント
身長に合わせたサイズ(座って膝が90度になるくらい)を選びます。アンチバースト(破裂しにくい)仕様だと、万一の空気漏れでも急に潰れず安心。床で滑らないよう、ヨガマットの上などで使うのがおすすめです。
バランスボール(アンチバースト仕様)
不安定な面で体幹を安定させるトレーニングに。登りの「ぐらつきを止める」感覚を養えます。身長に合うサイズと、破裂しにくいアンチバースト仕様を選ぶと安心して使えます。
体幹って、プランクだけでもいいんですか? 器具買うか迷ってて。
正直、プランクだけでもかなりいけます。器具なしで始めて、物足りなくなったらアブローラー、という順番で全然OK。お金をかけずに始められるのが体幹のいいところなので、まずは床でプランクから試してみてください。
3. 引く力(懸垂・プル系)を鍛える
なぜボルダリングに必要か
ボルダリングの動きは、見た目以上に「自分の体を引き上げる」動作の連続です。次のホールドへ体を寄せる、深く持ち込む、起き上がる——その多くで背中と腕の「引く力」を使っています。
引く力が足りないと、ホールドを掴んでいても体を引き付けられず、腕だけで耐えるうちに落ちてしまう。逆に引く力に余裕があると、一手一手に余裕が生まれて、保持の時間も短く済みます。背中側(広背筋など)が使えるようになると、登りがぐっと楽になる感覚があります。
ただし、引く力トレも肩・肘・指への負荷がそれなりにあります。勢いで体を振り上げるような、反動を使ったやり方は関節を痛めやすいので、家では特に丁寧に、ゆっくりやることを意識してください。
自宅でできるトレーニング方法
① ドア枠取付の懸垂バーで懸垂
引く力の王道はやはり懸垂です。バーにぶら下がり、肩甲骨を下げるところから、ゆっくり体を引き上げる。あごがバーに近づくところまで上げて、ゆっくり下ろします。
ただ、懸垂は最初は1回もできない人が多い種目です。できなくても落ち込む必要はまったくありません。まずは「ぶら下がって、少し下ろす(ネガティブ動作)」だけでも十分効きます。 椅子を使って上の位置まで補助で上がり、そこからゆっくり下りる、というやり方もおすすめ。目安はできる範囲を数回。回数より「反動を使わずゆっくり」を優先してください。
② トレーニングチューブで引く動作
チューブをドアや柱に固定して、引く動作を行います。負荷が軽くから選べるので、懸垂がまだ厳しい人でも背中の「引く感覚」を練習できるのが利点。肘を体の後ろに引くイメージで、肩甲骨を寄せる。軽い負荷で10〜15回を1〜2セットくらいから。
③ 懸垂アシストバンドで懸垂の補助
太いゴムバンドをバーに掛け、足や膝を乗せると、バンドの反発が体を押し上げてくれて、懸垂が楽になります。「自力ではまだ上がれないけど、フォームは練習したい」という段階にちょうどいい。補助があるうちに正しい引き方を体に覚えさせておくと、後で自力懸垂に移りやすいです。
そのための器具
ドア枠取付式 懸垂バーを選ぶときのポイント
ここは安全性が最優先です。自分の体重に対して余裕のある耐荷重のものを選び、ドア枠の幅・強度に合うか必ず確認してください。ネジ固定式と突っ張り式があり、突っ張り式は手軽な反面、設置が甘いと外れる事故が起きます。取り付け後、体重を預ける前に必ずぐらつきを確認するクセを。賃貸で壁に穴を空けたくない人は、つっぱり棒タイプか、置き型の懸垂スタンドも選択肢です。
ドア枠取付式 懸垂バー
引く力(懸垂方向)を鍛える基本器具。ボルダリングで体を引き上げる動作に直結します。選ぶときは体重に余裕のある耐荷重と、ドア枠への確実な固定を最優先に。設置後のぐらつき確認を習慣にしてください。
トレーニングチューブを選ぶときのポイント
強度(負荷)が複数セットになっているものが便利です。軽いものから始められ、慣れたら強くできる。ドアアンカー(ドアに挟んで固定する付属品)が付いていると、家での固定がしやすくなります。ゴムの劣化で切れることがあるので、定期的に状態をチェックして。
トレーニングチューブ(強度セット)
軽い負荷から引く動作を練習できる器具。懸垂がまだ厳しい段階でも背中の使い方を覚えられます。負荷が複数あるセットを選ぶと、上達に合わせて長く使えます。
懸垂アシストバンドを選ぶときのポイント
自分の体重・補助したい量に合った強度を。バンドが強いほど補助が大きく(=楽に)なります。1本だと合わないこともあるので、強度違いで2本くらいあると調整しやすい。幅が広めのほうが膝や足を乗せたとき痛くなりにくいです。
懸垂アシストバンド(補助用ゴムバンド)
懸垂をまだ自力でこなせない段階の強い味方。バーに掛けて足を乗せると体を押し上げてくれ、正しいフォームを練習できます。体重に合った強度を、できれば2本そろえると調整しやすいです。
懸垂、1回もできないんですけど……始めても意味ありますか?
むしろ伸びしろの塊です。最初は「ぶら下がってゆっくり下りる」だけでいいんですよ。それを続けると、ある日ふっと1回上がる日が来る。アシストバンドを使えばもっと早い。0回が1回になる瞬間って、地味だけどめちゃくちゃ嬉しいです。
4. 押す力(プッシュ系)を鍛える
なぜボルダリングに必要か
「引く力」ほど目立ちませんが、押す力もボルダリングでは確かに使います。
代表的なのがマントル(体を壁の上に押し上げて乗り越える動作)。ガバ(大きく持ちやすいホールド)に乗り込むとき、最後は腕で体を押し上げます。また、ステミング(左右の壁を突っ張る動き)や、体のバランスを取るためにホールドを押さえる場面でも、押す力が効いてきます。
加えて、押す力を鍛えておくと体の前後のバランスが整うという意味もあります。クライマーは引く方向ばかり使いがちで、押す側(胸・肩前面・上腕の裏)が弱くなり、肩のバランスを崩しやすい。家トレで押す力を少し足しておくと、肩の安定や怪我の予防にもつながると感じています。
自宅でできるトレーニング方法
① プッシュアップバーを使った腕立て伏せ
普通の腕立てでもいいのですが、プッシュアップバーを握ると手首がまっすぐになり、手首への負担が減るうえ、可動域も広がってしっかり効きます。きつければ膝をついた状態から。胸を床に近づけて、押し返す。目安はできる回数を1〜2セット。回数を欲張るより、ゆっくり丁寧に下ろすほうが効きます。肩に痛みが出るなら手の幅を変えて、それでも痛むなら中止してください。
② ディップススタンドでディップス
平行になった2本のバーを握り、体を支えて上下する種目です。胸の下部・上腕の裏・肩前面に効きます。負荷は高めなので、最初は足を床に残して荷重を減らした状態から。フルでやる場合も、肩を痛めないよう下ろしすぎないのがコツです。これは中級者向けの補強として、押す力を一段伸ばしたいときに。
押す系は引く系に比べて怪我のリスクはやや低めですが、肩は別。肩に違和感が出やすい種目でもあるので、痛みのサインには引く系と同じくらい敏感でいてください。
そのための器具
プッシュアップバーを選ぶときのポイント
安定して滑らないことが第一。底に滑り止めが付いているか、グリップが握りやすいか。高さがあるタイプのほうが可動域を取りやすいですが、その分負荷も上がるので、最初は低め〜中くらいでも十分です。シンプルな器具なので、ぐらつかない安定感だけ重視すれば失敗しません。
プッシュアップバー(腕立て補助グリップ)
手首をまっすぐ保って腕立て伏せの効果を高める器具。ボルダリングのマントル(押し上げ)動作の土台づくりに。底の滑り止めと握りやすさ、ぐらつかない安定感を重視して選ぶと安心です。
ディップススタンドを選ぶときのポイント
これは荷重を支える器具なので、安定性と耐荷重が最優先です。脚が広く接地して、ぐらつかないもの。高さ調整ができると、足を床に残して負荷を軽くする練習がしやすくなります。中級者向けの一段上の器具なので、押す力をしっかり伸ばしたい段階で検討するのがいいと思います。
ディップススタンド(平行バー)
押す力を一段伸ばしたい中級者向けの器具。胸・腕の裏・肩前面に効き、マントルや突っ張りの力につながります。荷重を支えるため、安定性・耐荷重を最優先に。高さ調整できると負荷の加減がしやすいです。
クライミングって引く動きばっかりだと思ってました。押す力も要るんですね。
そうなんです。しかも引く側ばっかり鍛えると肩のバランスが崩れて、かえって痛めやすくなる。押す側を少し足しておくのは、強くなるためというより「壊れないため」の意味が大きいです。腕立てを週に何回か、くらいで十分ですよ。
まとめ:全部やらなくていい。ひとつ、軽く、長く
長くなったので、最後に整理します。家トレで狙える4つの能力と、その器具はこうでした。
- 保持力(指・前腕):フィンガーボード、ハンドグリッパー、リストローラー
- 体幹(コア):アブローラー、バランスボール(プランクは器具なしでOK)
- 引く力(プル系):ドア枠取付式の懸垂バー、トレーニングチューブ、懸垂アシストバンド
- 押す力(プッシュ系):プッシュアップバー、ディップススタンド
ここまで読んで「全部揃えなきゃ」と思った方、その必要はまったくありません。むしろ最初は、体幹のプランク(器具ゼロ)から始めるのがいちばん安全で、いちばん続きます。物足りなくなったら器具をひとつ足す。その順番で十分です。
そしてもう一度だけ。家トレでいちばん大事なのは、強くなることではなく壊れないことです。特に指。特に40代以降。ウォームアップを省かない、痛みが出たらやめる、やった日と日を空ける。この3つさえ守れば、家トレはあなたの登りを静かに支えてくれます。
わたしが10年続けてこられた理由を改めて考えると、結局「無理しなかったから」に尽きます。家でも、その姿勢は変わりません。週に10分、軽く、長く。次にジムへ行ったとき「あれ、ちょっと余裕があるかも」と感じられたら、それがもう、家トレが効いている証拠です。
今日の話で、家でもできることがあるって分かって、ジムに行けない日のモヤモヤが減りそうです。まずはプランクから始めてみます。
それが大正解。プランクから始めて、続きそうなら器具をひとつ。焦らず、痛みが出たら休む。それだけ守ってくれれば、半年後の登りはきっと変わってます。応援してます。
関連記事
家トレと合わせて読んでおくと安心な記事です。
- 40歳からボルダリングは遅い?10年続けた答え — 年齢より続け方が効く、という話
- 50代クライマーの怪我予防と回復のリアル — 指の故障で2ヶ月休んだ実体験と、その教訓
- ボルダリング初心者が最初に揃えるもの5選 — ジムに通うための道具をそろえる順番
器具の具体的な選び方や、わたしが実際に使っているものは、これから順次紹介していきます。気になったところから、無理のない範囲で試してみてください。
レン(週末ボルダー・10年目)
九州在住・51歳。会社員しながら週末は岩場やジムへ。 トップクライマーじゃない普通のボルダー目線で、これから始める人向けに書いてます。